トップ / 判断材料
早期退職の割増退職金はいくら残る?税金・失業給付・年金の確認手順
割増退職金は額面で語られますが、判断に使うのは手取りです。国税庁の計算式で自分の数字を出し、退職後の保険・年金の負担まで含めて「何か月持つか」を確定させます。
手順1:退職所得控除を計算する
退職金の課税は、給与とは別の計算で優遇されています。国税庁の計算式は次のとおりです。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(80万円未満なら80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年) |
勤続年数の1年未満の端数は1年に切り上げます。たとえば勤続20年1か月は21年として計算し、控除額は870万円になります。退職日を月末にずらすだけで控除額が変わる場合があるため、退職日の設定は確認する価値があります。
手順2:課税退職所得を計算する
(退職金の額面 − 退職所得控除額)× 1/2 = 課税退職所得
この金額に所得税率(累進)と住民税がかかります。割増分も含めて「退職手当等」として扱われるのが一般的ですが、支給の名目によって扱いが異なる場合があるため、会社の人事・税理士に確認してください。
なお、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出しないと控除が適用されずに源泉徴収され、確定申告で精算することになります。提出を忘れないでください。
手順3:雇用保険の見込みを確認する
失業給付の日数と給付開始時期は、離職理由の区分で変わります。希望退職への応募は、募集の条件によって「特定受給資格者」に該当する場合がありますが、該当するかどうかはハローワークが個別に判断します。次を確認してください。
- 会社が離職票に記載する離職理由
- 募集要項の文言(人員整理を目的とするか等)
- 管轄ハローワークでの事前相談
給付額は退職前の賃金をもとに計算されます。具体的な日数と金額は、ハローワークで自分の条件を確認してください。
手順4:健康保険と年金の切り替えコストを入れる
退職後は、健康保険を「任意継続」か「国民健康保険」か「家族の扶養」かで選び、年金は国民年金に切り替えます。任意継続は在職時の保険料の全額自己負担になり、国民健康保険は前年所得で計算されます。退職翌年の保険料と住民税は、在職時の所得で計算されるため、収入がない年に負担が集中します。この金額を「何か月持つか」の計算に必ず入れてください。
手順5:「何か月持つか」を確定させる
(退職金の手取り + 貯蓄 + 雇用保険の見込み額)÷(毎月の生活費 + 保険料・税の月割り)= 猶予月数
この数字が、応じるかどうかの判断の中心になります。猶予が短いほど、応じる前に在職中の転職活動で内定を取る必要が高まります。
よくある質問
Q. 割増退職金の相場はいくらですか? 企業・年齢・勤続年数で大きく異なり、当サイトは一般的な相場を掲載しません。募集要項の金額を上の手順で手取りに直してください。
Q. 退職金を分割で受け取ると税金は変わりますか? 一時金と年金形式では課税の扱いが異なります。制度がある場合は税理士に試算を依頼してください。
Q. iDeCoや企業型DCの一時金と重なる場合は? 受け取り時期によって退職所得控除の勤続年数が調整される場合があります。国税庁のページと運営管理機関に確認してください。
まとめ
- 退職所得控除は勤続20年超で「800万円+70万円×(年数−20)」。端数は切り上げ
- 課税対象は控除後の2分の1。申告書の提出を忘れない
- 雇用保険の区分はハローワークが判断。離職票の理由を事前に確認
- 退職翌年の保険料・住民税を猶予月数の計算に入れる
参考にした公表資料
- 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 退職所得控除と課税退職所得の計算式
- ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」