トップ / 判断材料
役職定年で退職金は減るのか|計算基準と人事制度で確認する5項目
役職定年で月給が下がることは知られていますが、退職金まで下がるかどうかは制度次第です。規程を確認しないまま「たぶん大丈夫」で過ごすのが最も危険です。
結論:減るかどうかは「算定方式」で決まる
役職定年で退職金が減るかどうかは、勤め先の退職金規程がどの方式かでほぼ決まります。
| 算定方式 | 仕組み | 役職定年の影響 |
|---|---|---|
| 最終給与比例型 | 退職時の基本給 × 支給率 | 大きい。役職定年後の下がった給与で計算される |
| ポイント制 | 在職中に積み上げたポイント × 単価 | 小さい。積み上げ済みの分は原則減らない |
| 別テーブル型 | 等級・勤続年数ごとの固定額 | 制度次第。移行後の等級で決まる |
| 確定拠出年金(DC) | 拠出済みの掛金+運用益 | 積立済み分は減らないが、掛金額が下がる場合あり |
最終給与比例型の会社で役職定年を迎えると、在職中の貢献に対する退職金が、役職を外れた後の給与水準で計算されることになります。これが「役職定年で退職金が減る」と言われる典型パターンです。
人事に確認する5項目
退職金規程は就業規則の一部として閲覧できます。次の5点を確認してください。
1. 算定基礎額はいつ時点の給与か
「退職時の基本給」なのか「役職定年前の基本給を保証する経過措置があるか」。ここが最大の分岐です。
2. 役職手当は算定基礎に含まれるか
基本給のみで計算する制度なら、役職手当がなくなっても退職金への影響は限定的です。役職手当込みで計算する制度は影響が大きくなります。
3. ポイント制なら、役職定年後のポイント単価・付与率
積み上げ済みポイントは守られても、役職定年後の毎年の付与が大きく下がる制度があります。定年までの残り年数分の差を計算してください。
4. 早期退職優遇制度との関係
役職定年の前後で早期退職の割増条件が変わる会社があります。「役職定年前に手を挙げた場合」の条件も同時に確認すると、選択肢を数字で比べられます。
5. 確定拠出年金(DC)の掛金テーブル
DC併用の会社では、掛金が等級や給与に連動していることが多く、役職定年後は毎月の拠出額が下がる場合があります。
税金の基本だけ押さえる
退職金には退職所得控除があります。勤続20年超の場合、控除額は「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」です(国税庁タックスアンサー No.1420)。勤続30年なら1,500万円までは課税対象になりません。手取りの詳しい計算手順は早期退職のお金の記事に整理しています。
確認した結果、減る制度だったら
取れる選択肢は3つです。
- 残る前提で、役職定年前の貢献を交渉材料にする — 経過措置や役割の調整は、制度上の裁量が残っていることがあります
- 役職定年前に市場の反応を見ておく — 退職金の減り幅と、転職した場合の生涯収入を同じ表で比べるためには、市場の提示額が必要です
- 早期退職優遇の条件と比べる — 割増額と減額幅の差し引きで判断します
肩書があるうちに経歴書を市場に置いて反応を見るのは、費用がかからず、辞める義務も発生しません。
よくある質問
Q. 退職金規程は本当に見せてもらえますか? 就業規則の一部なので、労働基準法上、会社には周知義務があります。人事に「退職金規程を確認したい」と伝えれば通常は閲覧できます。
Q. 規程が読み解けない場合は? 「役職定年を迎えた場合、退職金の算定基礎額はどうなりますか」と人事にそのまま質問してください。書面やメールで回答をもらうと、後で家族と共有できます。
Q. 減ると分かったら、すぐ転職すべきですか? すぐ決める必要はありません。減額幅を数字にして、残る・移る・独立の比較表に載せてから判断してください。
まとめ
- 役職定年で退職金が減るかは、最終給与比例型かポイント制かでほぼ決まる
- 算定基礎額の時点・役職手当の扱い・経過措置の有無を人事に確認する
- 減る制度なら、減額幅を数字にしてから残る・移るを比較する
- 確認は書面で。家族との共有材料になる
参考にした公表資料
- 厚生労働省「高年齢者の雇用」
- 国税庁 タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」 退職所得控除の計算式の根拠